2024.04.26
当施設は就労継続支援A型B型のサービスを提供する多機能型事業所です。定員はA型が40人(現在の利用者は35人)、B型が10人(現在の利用者は8人)。
主な利用者は軽度〜中度の知的障害の方ですが、精神障害や発達障害の方も2割ほど利用しています。
令和5年4月、工賃月額が全国平均値を上回っていること、前年度に一般就労者を出していることから、令和4年度就労継続支援B型優良取組表彰の事業所に選ばれました。
工賃向上への取り組みや就労支援においては、真摯に仕事ができる環境づくりの上で、途切れることなく作業を提供し続けることが大切です。
仕事そのものが利用者の能力を高め、成長していくという考えのもと、サポート体制を整えてきました。
また、「頑張れば非常勤職員として採用してもらえる」という利用者のモチベーション向上、「新人職員の見本として頑張らなければならない」という職員意識向上のため、利用者からの職員への採用を促進したいと考えています。
広汎性発達精神障害で障害等級2級の末鶴さんは、当施設の就労継続支援A型を令和3年4月から利用し、昨年4月に非常勤職員として採用されました。
A型利用者からの職員採用は、当施設では初めてのことです。
採用に至った理由は2点。本人が福祉的就労ではなく一般就労を希望していたこと、そして仕事に対する末鶴さんの姿勢が素晴らしかったことです。受け持った作業には真面目に取り組み、さらに業務に対して自ら工夫・改善することができていました。
採用に当たっては「報告・連絡・相談をすること」「気持ちを安定させ、自分の気持ちを正しく表現すること」をお願いしました。
末鶴さんは対人緊張が高く、初対面や慣れない人に対しては特にこの傾向が強く現れます。
意見を求められた際にとっさに言葉が出ないといった課題もありますが、前もって説明をし、話す内容をまとめておくように伝えると、十分に答えてくれます。
非常勤職員として勤めて半年以上が経ち、末鶴さんは「A型利用者から非常勤職員になったことで業務上の大きな違いはありませんが、支援される側から支援する側になり、責任の重さを感じるようになりました。」と振り返ります。
A型利用者時との区別を図るために週2回、病院内のユニホーム納品業務に取り組んでもらいました。
声が小さいなどコミュニケーション上の課題で継続できなかったこともありましたが、工場内での作業は十分に果たしてくれています。
また当施設職員として、大阪府障がい者ピアサポート研修「基礎研修」「専門研修」を修了。
だんだんと利用者へのアドバイスもできるようになりました。
この調子で徐々に自信をつけていくことで、課題も乗り越えていけると思います。
次のステップとして、末鶴さんは現在「一人暮らしをするために必要なことは、自分の力で働いて収入を得ることができ、仕事とプライベートを両立させることだと思います。」と末鶴さん。「ピアサポート研修で学んだことも生かし、もっと利用者と接することができるように努力したい」と今後の抱負を力強く語りました。